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「第1回チェリビダッケ研究会」は、2月9日に開催致しました。この企画に思い至った幾つかある理由のうち、重要なひとつは、「集中して録音を聴くことが出来ない」ことでした。

これは自分だけに言える事情なのかも知れませんが、コンサート会場 の生演奏と拙宅での録音再生とでは、それを聴く姿勢に大きな相違があります。聴くためにみずから静寂を整える演奏会場と、外的な雑音やながら族へ流される誘惑の多い部屋とでは、どうしても聴く心構えに差異が出てしまいます。そこで、もはや聴く事の出来ないチェリビ ダッケの演奏を、チェリビダッケが忌み嫌った演奏録音であるとは言え、少しでも集中して聴く機会を拵えて味わってみたいと考えました。

今回の企画を終えて感じるのは、「展覧会の絵」の進行にあわせて移ろった会場の雰囲気は、自宅では味わう事のできなかったコンサート会場のそれに近いものだった事です。勿論、演奏自体から得られる体験そのものは、実際に過去体験したチェリビダッケの展覧会の絵とは、比べるべくもありませんが、このチェリビダッケ研究会の会場が心地よい緊張へと向かって行ったのは、事実であったと感じています。

1997年2月13日 田形 彰


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